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たとえば、ゴダールの映画では、映画の法則ではなく物理学の法則にしたがって、光である映像が先走りして音よりも先に次の場面に進んでいってしまって、音が次の場面まで残響を響かせるということがしょっちゅう起こっています。またそれが逆になることもあります。そんな風にゴダールは、映像と音をジャストフィットさせないのです。引用した音楽もフレーズや小節単位で切るのではなく、音が最も輝く瞬間だけを明らかに大きすぎる音量で突然流し、その部分が終わるとそこでばっさり音を切ってしまう。また最近では、電話機もないのに突然ベルが鳴り、空も見えないのに鳥が啼き、岸辺も見えないのに部屋の中で波の音がするという怪奇な現象がよく起こっています。その最たるものが、最初の方でお話しした『JLG/自画像』で、ゴダールが編集したサウンドトラックだけ聞くと、まるで何か壮絶なドラマが展開しているかのようですが、画面ではゴダールが家でただ静かに本を読んでいたりする、といった具合に、万事が支離滅裂なのです。
アワーミュージック爆裂対談